気球ツアーは五時半に宿に迎えが来る。早起きしなきゃと思っていたら都合の良いことに四時半過ぎにモスクからアザーンが流れてきたのでそれで目覚める。ドミトリーには四人いて他の一人は同じく気球ツアーへ。他の二人は眠っていたのでできるだけ気を使って支度をする。(結局起こしてしまったが…)

寒いと聞いていたのでビニール袋に日本から持ってきた毛布を入れて備える。今朝はこの宿から五人参加することになっていてみんな迎えのマイクロバスに乗って出発していった。私は気球ツアーの会社が宿の近くにあったので宿のおっさんに連れられて歩いて行く。
気球ツアーのオフィス
オフィスには既にたくさん人がいて皆セルフサービスのパンと飲み物で朝食をとっていた。私もパンを二つもらって食べていたら中国人とインド人らしき集団が登場。パンの前に長い行列ができていた。
ちょっとしたオフィスの喧騒はツアー会社の係員の行くぞという言葉で場所を外に移す。順にマイクロバスに乗ってオフィスを出発する。町外れに向かう途中、飛んでいたりまだ横になっている気球がいくつも見えてくる。
気球、準備中
気球のそばに着き事前に決められていたチームごとに分かれかごに搭乗。一グループは二〇人強で編成されており左右のバランスを考え乗るよう指示がある。(私はひとりで参加だったので割を食って移動させられた)操縦士から自己紹介と着地時の対ショック姿勢の説明があり、ガスバーナーで火を起こし気球の中の空気を暖め、少しするとふわっと気球が浮き始める。
飛行中の様子。操縦士はおばはんだった。
時には高く、時には低く気球はゆったりと飛ぶ。会社毎にいろいろなマーキングをされた気球がいくつも飛んでいてカラフルだ。ギョレメやアヴァノスといった近隣の町がおもちゃのように見える。
空から見たギョレメの町
カッパドキアの特徴である奇岩群は空から見ると広い範囲で続いていることがわかる。まだカッパドキアに着いたばかりだがもうやり尽くしたかのような達成感を錯覚してしまうくらい壮観だ。
大量の気球がカッパドキアの空を飛ぶ
空から見たカッパドキアの大地
心配していた寒さはガスバーナーの熱のおかげでそれほど気にならない。ちなみに私の服装はジーパンにTシャツ、フリース、ウィンドウブレーカーでそれほど重装備ではなかった。
約一時間のフライトが終わり着陸。操縦士は地上とトランシーバーで連絡をとっていて着地点には既にスタッフと車に牽引された車輪付きの着地用の台が準備されていた。
気球片付け中
着陸はこの台の上へ。ただ、きれいに台に着地できずスタッフが持ち上げてなんとか着陸完了。そして各員がかごから降りて気球会社の準備したシャンパンで乾杯してツアーは完了。後片づけをする一部スタッフを残し各自のホテルへ送ってもらえる。ただ私は近いのでオフィスで下ろされ歩いて帰った。
飛行後のシャンパン準備中
宿で改めて朝食。他の日本人もそれぞれの気球体験を楽しんだようだった。そして九時半からはカッパドキア南部を巡るツアーがスタート。まずはツアー会社のオフィスに連れて行かれる。私はまだ支払いをしていなかったのでカードで決済。そしてマイクロバス二台でツアーに出発する。
まずはギョレメパノラマと呼ばれるギョレメ郊外の奇岩群へ。ガイドはカッパドキアの奇岩の成形までのプロセスとトルコの歴史について話をしていた。場所の感想はまあこんなもんなのかなと…気球に乗った後だとあまり感動できなくなるな。
ギョレメパノラマ
マイクロバスで移動中にガイドは慣れた感じで次に訪れる場所の説明をしていく。二台でガイド一人なので移動中に車を止めて彼だけ移動し別の車でまた説明、しかも彼には座席がなくてずっと立ちっぱなしだった。
デリンクユの地下都市に行くがあまりの人の多さにまた後で来るとのことで次の予定地ウフララ渓谷へ。渓谷トレッキングの感想は渓谷に入ってすぐの所にあった洞窟内の教会内の壁に描かれた宗教画は黒目がなくて怖かったのと、どんよりと曇った空に濁った川が印象に残った。
岩窟教会の宗教画。白目がない…
ウフララ渓谷トレッキング中
トレッキングの後は渓谷の遊歩道の終着点にある川沿いのレストランで昼食。置いてあるパンを雀が勝手に食べたり、犬や猫がなんかくれと足下に寄ってくるのどかな雰囲気。味はまあこんなもんってところ。
渓谷の後は奇岩の住居跡へ。尖っていたり、キノコみたいになっていたりする岩を順路通り上っていくと教会跡にたどり着く。こんな不便な場所をわざわざ教会にしないと信仰が守れなかったというのは不幸なものだな。けれど悪条件下でもそれを脈々と続けるのには純粋な強さを感じる。
岩窟教会にて
そして午前中断念した地下都市へ。ここでマイクロバスを降りるときに間違ってカメラを落とし液晶を壊してしまった。ただシャッターは切れるので写真は撮れる。撮影後の露出の確認やらカメラのホワイトバランスなどの設定ができなくなってしまったのは痛い。
階段で地下に降りて行く。内部は所々電球で照らされ明るい。通路は狭く低い箇所が多く前屈みで歩かねばならないので疲れる。ガイドは説明ポイントに到着する度に丁寧に説明をしているが疲れのためほとんど耳に英語が入ってこなくなっていた。英語は日本語と違って頭を使わないと理解できないから集中力が持たんよ…
地下都市でガイドの説明を聞く人々
第七層まで降りて地上に戻る。外は雨。遠くから雷鳴が聞こえる。バスはギョレメに向かう途中、お約束の石細工の店に寄りお土産を買うよう勧められる。それを断り各自の宿まで送ってもらってツアー終了。
時間は既に十七時過ぎ。昨日泊まった宿は気に入っていたのだが既に予約で満室。二つのツアーに参加してもうカッパドキアに満足してしまったので夜行バスでパムッカレに向かうことにした。一時間ほど同宿の日本人と他愛のない話をしてからバス会社へ。
十九時半発のバスがあり、デニズリで無料バスに乗り換えればパムッカレまで行けるそうだ。出発まで残り四〇分。スープで食事を済ませ、宿に戻り荷物をピックアップして、皆に別れを告げバスターミナルへ戻った。
滞在した宿。飲み物無料で気球ツアーの割引もあり良いゲストハウスだった
バスに乗るとトルコ人のおっさんが私の指定座席に座っていたので代わってもらう。そしてバスは定刻通り既に暗いギョレメの街を出発した。私の中のカッパドキアは気球と曇った空と奇岩の街。24時間強しか滞在しなかったがそんな印象が残った。
出発すると席を代わってもらったおっさんがトルコ語で話しかけてきたので日本語で応対。どこから来たか聞かれているようだったのでジャポンと答え、どこ行くのか聞かれているようだったのでパムッカレと答え、地震のことを言っているようだったのでジェスチャーを交え最悪だよと答えた。何だか通じているようでおっさんも笑っていたので旅のコミュニケーションって言葉だけじゃないよなと改めて思った。
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