始発のトロイ行きバスの出発時間が九時と遅いのでゆっくりと起床。
一時間前に宿をチェックアウトして朝食にありつこうと市内の開いているレストランに入るがまだ準備ができていないと何軒も断られる。結局バス乗り場近くの屋台で知らない食べ物を買ってみたが油っこくってまずかった。うーん失敗。
出発前のバスにて
三〇分ほどバスの中で待ち、定刻通りバスは出発。ガラガラで私の他に乗客は二人だけ。そのうちの一人が声をかけてきたので話してみる。彼はベルリン留学中の中国人で約一週間でイスタンブール、トロイ、エフェスと回って留学先に戻るらしい。短期の外国旅行を年に三、四回していると言ってた。実に羨ましい。
そしてトロイ。チケットを購入して入場すると大きな木馬が見えてくる。腹部から階段が出ていて中に入れるようだ。よし行くかと上がってみるも残念な景色が広がる。がっかりしていたら下の地面にレンガが木馬の形に並べられているのに気づいた。けれどそれも残念な感じ。
トロイの木馬
レンガで並べられた木馬
木馬の下にいたらトルコ人の学生の集団に一緒に写真を撮ってくれと声をかけられ撮ったり撮られたりで大騒ぎ。トルコ語で話しかけられたら日本語で返事していたのだが何となくコミュニケーションが成立していたのが面白い。彼らは去り、嵐が去ったかのように再び遺跡は静かになった。
トルコの学生たち
すると次は猫が私の周りに何匹も集まってくる。袋からぶら下げていた朝食の匂いに誘われたようだ。
何だか今日は大人気だなと自嘲気味にぼやく。餌をやるふりをして猫を引きつけて写真を何枚か撮る。
餌をやろうとしたら体のでかい奴が小さい奴をいじめていたので、そいつにはやりたくないなとそいつから一番離れたところに放ってやった。
トロイ遺跡の猫たち
さて、ガキ、猫の次は若い姉ちゃんかと期待するも残念ながら何も現れず。ま、人生こんなもんだよね。
トロイ遺跡
トロイの遺構と白い花
トロイ遺跡は規模が小さく状態もあまり良くない。トロイの歴史は実に興味深く面白いが、遺構は残念ながらその偉大さに到底及ばない。エフェスが世界遺産ではなくここが世界遺産であるということに改めて世界遺産という制度への疑問を新たにするのである。
みやげ物屋の木馬たち
帰りのバスを待つ間
二時間ほど滞在しチャナッカレへ戻る。遺跡を出る頃に雨がパラパラ降り始めていた。
チャナッカレ行きバスを一緒に待っていたアイルランド人の、見た目50代のばあちゃんがかなりパワフルで驚いた。ローマからここまで歩いて来たらしい。トロイへの道は本道から外れているからバスを使ったそうだけれど、大通りに戻ったら南に向けて歩くそうだ。目的地はチュニジアでカトリックの巡礼の旅とのこと。そして宣言通り大通りで彼女は下車し大きな荷物を背負って南へ歩いて行った。
南へ歩き始めた巡礼者
チャナッカレに戻り中国人の彼と一緒に昼食。ロカンタと呼ばれる店頭のショーケースにいくつも料理が並べてあるレストランへ。トルコ語がわからないので料理を指で示して注文する。二人でシェアすることにして四皿注文。備え付けのパンをガツガツ腹いっぱいになるまで食って一人六リラ。安い!
彼は初めてロカンタに入ったそうでローカルな雰囲気が気に入ったようだ。店員がトルコ語でチャイ飲むかと聞いてきたので断ると、何だかおれのおごりだから飲んでけよと言われたような感じだったのでわかったと注文。同行の彼に何言ってるのか解るのかと聞かれたのでわからんと正直に答える。ただ、コミュニケーションは言葉だけじゃないよと答えると呆れたのか何なのか絶句していた。
チャナッカレからギリシア行きのバスのあるキャシャンヘ向かうため、宿に戻り荷物を受け取って、近くのバス会社へ。次のバスは何時か聞くと五分後らしい。すぐにチケットを買って彼に挨拶をしてバスへ走る。バスは既に出発していたがフェリーまで走って追いつきすぐに出航。
バスがフェリーへ
ボスポラス海峡を越えるのに約三〇分の船旅。さらばアジア側のトルコ。チャナッカレの町が曇り空にとけ込むように小さくなるにつれ、ちょっと感傷的な気分になる。対岸からキャシャンヘはバスで二時間弱。
フェリーの乗客
バスターミナルでギリシア行きバスを探しチケットを買おうとするがクレジットカードが使えない。七五リラだが手持ちが三〇リラ弱しかない。四〇ユーロでもいいと言われるがレートが悪すぎる。係員に市内へ行く無料バスは無いのか、ATMで降ろして戻ってくると伝えると十五分後にあるらしい。
バス会社の人たち
時間通りにおっちゃんに呼ばれ二人で市内へ。ATMの前で降ろしてもらうがバスターミナルまでどうやって戻ればいいんだ???ひとまず金を引き出して道行く人にバス会社の名前のメトロとオフィスという単語を連呼してあっちだと教えてもらい無事到着。そこから再び無料バスに乗りバスターミナルへ。そしてようやくチケットゲット!ただ、夜九時発のバスのため待ち時間が四時間。持ち金はわずか二リラのみ。
ターミナルの待合スペース
バスターミナルの待合所で座って待つ。暇な時間に耐え出発の三〇分前に軽食を二リラで買い、残り〇.二リラ。トイレが有料で使えないのでターミナルの外に出てバスの陰で用を足す。あぁ貧乏。
時間になってもバスが来ないのでオフィスに行くとまだとのこと。更に待ってこっちへ来いと手招きされて夕方に市内に連れて行ってもらった無料バスに乗せられターミナルを出発する。
今度はさっきと違い市内とは反対の方向へ走り始めた。そして止まった先は大通り沿いのショッピングモールの駐車場。イスタンブールからのバスが通るのでここで待つそうだ。運転手のおっちゃんと若い髭のトルコ人と日本人の三人で二〇分程待つ。他の二人はトルコ語で何かを話していたが何を言っているかさっぱりわからず窓から外をぼっと眺めていた。
ギリシア行きバスを待つ
おっちゃんが嬉しそうにバスの外に飛び出したので後に続くとバスが来ている。ここからバスに乗り国境の町イプサラへは三〇分。途中車掌にパスポートを預けすぐに返してもらう。バスのドアが開きまずは出国審査。各自が列に並び順番を待つ。
私の順番になりマルマリスからロードス島に行ったときのスタンプについて色々言われたがスタンプを押してもらい無事出国。バスに戻り、少し走ると荷物検査。台の上に荷物を並べ係官が簡単に確認を行う。ギリシア人らしき男が荷物検査に非協力的で係官と言い争いになって、別の所に連れて行かれていたがすぐにバスに戻ってきた。一体何だったんだ?
荷物検査後、バスは少し停車。一部の乗客が暗くなった免税店へ向かう。二二時を過ぎているので閉店していると思っていたが免税店の袋を持って帰ってきていたので営業しているようだ。ちょっと驚いた。
そして暗い道を走りギリシアへ。入国ゲートをくぐり、バスが停車すると前のドアが開くので下車する。その際に一人ずつバスの出口でギリシア係官に質問を受けパスポートを回収される。私が聞かれたのはギリシアの滞在予定日数とホテルの予約があるかの二点。それぞれ五日ないし六日、予約はないと答えた。
そして皆バスから降りたら再びバスに戻り、手続きが終わるのを待つ。待っている間に車掌がバスに帰ってきて私を呼ぶのでついて行くと係員が何か言っているらしい。建物へ入って少しすると先ほど私に質問した係員が来て今回の旅の行程を説明しろと言う。イスタンブールに入ってマルマリスからロードス島に行ってからここ来たと言うと何でロードス島は1日だけ滞在したんだと聞かれたのでツアーだと答えると納得した模様。
ギリシアではどこへ行くんだと聞かれたのでテッサロニキに二日。残りはアテネにいる予定で飛行機の予約があるのでその日になったら日本に帰るとチケットを見せて説明する。何でホテルの予約がないんだとまたうにょうにょ言っていたが待ってろとのことで係員はいなくなる。少し待って再び現れた係員はバスに戻れと言い、無事解放。いやはやちょっとドキドキ体験しちゃいましたわ。
恐らくロードス島での出入国スタンプと宿の予約なしという二点が重なったのが入国にてこずった原因かな。私の前に肌が黒く日焼けしてぷくっとした韓国人女性が同じ質問をされていて彼女も宿の予約はないと答えていたが呼ばれていなかったので。私のように髭がボーボーで髪がボサボサの心優しいおっさんが悪いことするわけないのに全くもって失礼な話だ。
国境を抜けるのに何だかんだで二時間。初めての深夜陸路国境越えは色々とケチがついて良い(?)思い出になりました。バスは夜のギリシアを再び静かに走り出す。
※国境は色々面倒なので写真を撮らず。なので後半は文字ばかりになっちゃいました。
0 件のコメント:
コメントを投稿
質問、感想、気付いた点などあればコメント宜しくお願いします。