100系新幹線が来年三月で引退になる。そのニュースを聞いて引退前に一度乗りに行こうと思っていたのと、JR西日本で元旦に全線が乗り放題になる切符があると聞いて今回の年末年始は西へ行くのを決めていた。
乗り放題切符の販売は十二月三〇日まで。発売箇所はJR西日本のみどりの窓口か旅行会社と聞いていた。十二月二九日に近所の国内最大手の旅行会社へ行ったら、係りの人がどこかへ何回か電話をしてJR西日本のシステムに繋がらないので売れないと断られてしまった。三〇日に新幹線で新大阪まで行って買おうかと思った電話で予約できることを知る。電話したら簡単に予約完了。必要なのはクレジットカードのみ。面倒な登録も不要。なかなかいいサービスだ。
ムーンライトながら指定券と18切符&時刻表
急いで行く必要がなくなったのでムーンライトながらで行こうと、空席情報を見たら空いている。えきねっとで、さっと予約を済ませ指定席ゲット。帰りはそのタイミングでは空席がなかったのだが、ちょくちょく確認していたら空きが出たので無事予約完了。行きも帰りも夜行か。そもそもながらと18きっぷを使うのって何年ぶりなんだろうか。
発車の三〇分前に東京駅に着く。列車はまだ入線していないが人はそれなりに集まっている。そしてながら入線。以前は373系で運行されていたが、いつの間にか183系での運用に変わったんだな。定期運行が終わったのは二〇〇九年三月。臨時になってから乗った記憶がない。
ムーンライトながら発車前のホーム
ドアが開くと粛々と乗客が飲み込まれていく。全席指定のため平穏だ。東京では四割程度、品川、横浜、小田原と停車するにつれ座席が埋まる。それでも六割程度。結構乗らない人が多いんだな。おかげで隣が空席だったから助かったが。
熱海で乗務員の交代を行い沼津へ。このあたりから先はあまり記憶がない。時折目覚めるとまばらに街灯が暗闇のなかを横切ったり、トンネルで耳がキンとなったりした。
目覚めると熱田で停車中だった。定期運行していた頃はこの辺りは各駅停車として走らせていたから乗って来た人の騒音で何度か起こされたっけ。今は終点まで指定券がないと乗車できないように変わったようだ。
名古屋駅停車中
名古屋を発車し、岐阜を過ぎると終点の大垣はもうすぐだ。終着に近くなると階段に近いドア付近へ人が移動を始める。大垣到着後は階段を上った隣のホームの各駅停車姫路行きへ向かってみんな走る。危ないのに走る。ながらの客層ってやっぱり。。。
ぎりぎり座れて米原へ向かう。空はうっすら明るくなってくる。少しだけ雪が積もっているようだ。米原では隣のホームで待っていた播州赤穂行きの新快速電車へ再び民族大移動。私は山科までしか行かないのでこのまま各駅に乗ることにした。到着が二〇分遅れるが別に急ぐ旅ではないし。
日の出は車内にて。ただ、曇っていたので朝日は見えなかった。山科で湖西線に乗り換えて比叡山坂本まで。ここで元日乗り放題きっぷを受け取り、追加で指定席を予約する。
比叡山参道の石段
駅から自転車で坂を上り延暦寺の参道まで。ただ、食料と水がなかったので駅近くまで戻りロゴが白黒のセブンイレブンで買い物して再び参道へ。その間、サドルが勝手に落ちてきたり、旅行前に装備したばかりの100均で買ったライトが外れたり、諸々のトラブルがあり参道を歩き始めるまでに、電車で駅に着いてから一時間もかかってしまった。
まず長い石段を歩き、一旦舗装路に出て、山道に入る。所々から琵琶湖と町を見張らせて気持ちが良い。バテないようにペースを守って上る。少し進むと木々の上に雪。更に上ると地面にもうっすらと雪が積もっている。風が吹くと雪が舞い風情を感じる。山道を抜け、再び舗装路に入ると延暦寺だった。空から粉雪が降り始め、急なアスファルトの上り坂に雪が積もっていて滑りやすい。東京でのうのうと過ごしてきた私には厳しい環境だ。
雪の比叡山参道
天気に負けず各所を参拝していたら雪が止み、青空が広がり陽が射してきた。まずは東塔を散策し、西塔へ。東塔は人が多く賑わっていたが、西塔は人がまばらで雪が多く残っていた。外れにある素朴なるり庵を見て、一通りの散策は完了。もう一四時か。上り始めたのが九時だから随分歩いていたなあ。
最後にもう一度、延暦寺の総本堂である国宝の根本中堂に立ち寄る。子供の書道コンテストの入賞作が展示された回廊を歩き堂々とした本堂へ。堂内では観光客相手の講話が行われていて僧侶がマイクを使ってお堂について説明していた。
根本中堂入口
天井には色褪せた花の絵が描かれ、朱の落ちた竜が掘られた欄間がある。本尊の納められた厨子のある須弥壇は暗く、厳かな雰囲気。ちなみに根本中堂と書いて『こんぽんちゅうどう』と読む。恥ずかしながら『ねもとちゅうどう』と読み違えていた。
往路を歩いて戻ろうと思っていたが雪で足が滑るのと、予定よりも歩いて疲れたので帰路はケーブルカーに乗ることにした。坂本ケーブルカーは運行区間が日本で一番長い(二キロメートル)ケーブルカーらしい。駅前広場から下界を眺めると、雲の切れ間から当たる光を浴びて琵琶湖と町に強いコントラストが生まれていた。
比叡山から下界を見渡す
下山後は住吉大社へ。入場料を払いチケットを受け取るとスタンプの日付が平成二四年一月一日になっている。係のおばちゃんが間違えたようだが、ハイテンションで「ちょっと早く新年を迎えたのおにいさんだけよ、良かったわね。<長いので中略>。交換しなくていいよね。」ということだったのでまあいいかとそのままにして入域する。
歴史的建造物が立ち並び、見応え十分。途中、神職が三人一組になって小さな社にお参りしているのを見かけた。手の叩き方、おじぎの仕方、プロはさすが気合いが違う。少しコミカルにも見える切れの良い参拝方式に感心。
この後、住吉大社の前に自転車を残し、東照宮へ歩いて行って戻ってきた。自転車に乗ろうとすると手袋の片側が無い!住吉大社を探すが見つからない。探している途中に東照宮へ行く途中に寄ったトイレで手袋を外したかもとトイレへ戻るが見つからない。がっかりしていたらトイレの外の駐車禁止と書かれた標識の上に置かれている手袋を発見。誰か置いてくれたのだろう。見つかって良かった。
標識の上に誰かが置いてくれた手袋
ケーブルカーで下山中に指定券に金額が記載されていたのに気づいた。切符代に含まれているはずなのに何故だろうと駅に戻りみどりの窓口で確認。私の思った通り、係員が間違えていたようでキャンセルして再発券してもらった。このまま乗っていたらクレジット支払い時に面倒なことになっていたはずなので気付いて良かった!
時間があれば湖西線で敦賀まで行ってから新大阪へと思っていたが、既に一六時半過ぎ。断念して新大阪へ向かう。
途中までうっすらと明るく夕焼けが見えたが、だんだん闇が強くなり、到着したら夜だった。
新大阪駅の外に出るのは一〇年以上ぶり。以前は地下鉄に乗り換えだけなので土地勘が無く迷ってしまった。地図とにらめっこをして自転車で少し走り、何とか現在地を確定。出口を間違えたのが敗因だ。
夕食にしようと店を探すが見つからず。駅ビルで定食三昧とかかれた店に入って飯を食ったが、三昧という割には量が少なく三昧じゃないじゃんと一人突っ込みを入れ、マックで写真をPCに取り込み、スーパーで朝食を買い、テント貼って寝た。
2011年最後の食事
そんな二〇一一年の大晦日。来年が良い年でありますように。
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